c.あらかじめ定められた運用方法(いわゆるデフォルトファンド)による運用
確定拠出年金制度は、加入者等が自己の責任において運用方法を選択して運用指図を行う制度であり、投資教育等により加入者等自身の投資を促すことが基本である。
しかしながら、加入者等が自らの運用商品を選別するのに時間を要し、運用指図が間に合わない場合があり、企業型年金規約において、加入者等の運用指図が行われるまでの間のデフォルトファンド(加入者等から運用指図がなかった場合の運用先として事前に設定している商品)を特定し、運用指図がない状態を回避している事例が見られる。
デフォルトファンドの設定は、基本的には、労使合意の問題であり、明確な法的規制はないが、預貯金等元本確保型の運用方法に限定されているのが実態である。
これに対して以下のような指摘がある。
1)元本確保型よりもリスク・リターンが高いとされる投資信託等をデフォルトファンドとしても、事業主が責任を問われないことを明確にすべき
2)運用に関する知識・経験が乏しい加入者等を想定して、恒久的な運用方法としてデフォルトファンドを活用すべき
さらに、全ての加入者等が同レベルまで投資の知識、経験を得ることは困難な面もあり、アメリカにおいても、ある程度のリスク・リターン水準の期待できる運用商品をデフォルトファンドとして指定することを容易とする制度改正が進められている。
以上を踏まえて、加入者等のニーズも見極めながら、デフォルトファンドを設定する際の一定のルールのあり方等について検討する必要がある。
また、個々の加入者があらかじめ定められた運用方法により運用する現行の仕組み以外に、オランダのコレクティブDCのように事業主と加入者の代表が運用に関する権限と責任を共有する運用方法などについては、デフォルトファンドの検討状況も踏まえた上で、今後の検討課題とすべきである。
次回は、「企業年金制度の施行状況の検証結果(企業年金研究会)」Vol.21として
d.中途脱退
(1)中途脱退要件です。
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