今回は、前回解説の続きとして労使協議で説明する必要があるいくつかのポイントを解説します。
(3)加入資格と代替措置
現行制度の対象者との比較による確定拠出年金制度の対象者の範囲と勤続年数等一定の加入資格を設ける場合の代替措置および前払い退職金との選択制を実施する場合は前払い選択者の追加加入の要件。
(4)掛金の拠出・中断・返還
掛金の水準、加入者が運用する際の運用益の見込み、特に現行制度から移行する際は移行割合、確定拠出年金の掛金水準を決定する要素になる想定利回り(2.0~2.5%が一般的)、現行制度と移行後のモデル退職金、掛金拠出限度額超過分の取扱いおよび育児介護などによる休職期間中の掛金拠出中断の有無、勤続3年未満での退職による掛金相当額の事業主への返還(返還事由、返還割合を含む)有無。
また、前払い退職金との選択制を実施する場合は、掛金の選択割合。
(5)運営管理業務・資産管理業務に係る事務費の負担
確定拠出年金制度を運営するために必要な運営管理業務・資産管理業務に係る事務費の負担者(加入者は事業主負担、定年退職後の運用指図者は本人負担が一般的)と負担方法(掛金の別枠負担、掛金の内枠負担、個人別管理資産からの控除による負担)と負担時期。
(6)運用商品の選定
運用商品の選定は、運用関連運営管理機関が専門的な知見に基づいて行いますので、厳密には協議事項ではありませんが、情報提供と意見聴取(投資教育実施内容の検討を含む)の観点による運用商品の類型。
(7)給付体系
給付種類(老齢給付金、障害給付金、死亡一時金、脱退一時金)と老齢給付金、障害給付金の年金種類(支給期間、保証期間、終身年金の有無)、年金支給期月・回数および年金・一時金の選択(一時金選択割合、選択時期を含む)有無。
(8)運営管理機関、資産管理機関の選定
業務委託先、再委託先の運営管理機関、資産管理機関の名称、サービス内容、サポート体制、実績および選定に至った経緯(コンペの実施結果など)。
(9)他制度からの資産移換
現行の制度から確定拠出年金制度に移換するときは移換元制度と移換額、個人別按分額の算定方法、退職金制度による分割移換は分割年数・回数、付利利率および移換・分配の選択有無。
次回は、会社から確定拠出年金の導入提案があったときの労働組合の対応方法として注意すべきポイントをUIゼンセン同盟が公表している「確定拠出年金導入の指針」から概要をご紹介します。
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